Friday, January 6, 2012

読書ノート:FEYNMAN

Feynman

Feynman [Hardcover]
Jim Ottaviani (Author), Leland Myrick (Illustrator)

言わずと知れた物理学者リチャード・P・ファインマン。彼の自伝マンガです。内容は面白かったです。最初の妻アーリーンとの下りはすごく良かった。

いわゆるアメコミで、マンガ大国出身の僕はいつまでもアメコミが流れません。何回か読めば分かるのかもしれませんが、絵からパウリやベーテが区別できなくて困りました。アインシュタインは間違えようがないのですが。

300ページ近い、フルカラー、ハードカバーのマンガです。名著「ご冗談でしょうファインマンさん」を読んだ方なら英語が苦手でも十分に楽しめると思います。

20年前の自分に励まされるだろうか

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

新しい年を迎えました。
自分の、世界の歴史に足場をしっかりと組み、前のみを見つめて進んでいきたいと思います。

2011年には様々な出会いがありました。旧知の間柄を深めることもできました。その中の一つに日本の小学校四年生30人との出会いがあります。

首都圏で中学受験塾を展開する四谷大塚は、小学校3〜5年生を対象に無料で全国学力統一小学生テストという学力試験を実施しています。2008年より小学4年生のトップ30人を、アメリカIvy League視察ツアーに無料で招待しています。10日間で、コロンビア大学やハーバード大学を始めとするアメリカのトップスクールを視察し、研究の世界のトップスターたちと直に触れ合い、将来への夢と希望をもってもらうとても有意義な企画です。過去三年間、そのツアーのコーディネーターをボランティアで行っている、コロンビア大学大学院で物理学の研究をする友人、竹越さんに誘っていただき、コロンビア大学でのツアーに僕も参加しました。竹越さんとともに、研究に関係するプレゼンテーションを行い、小学生達と交流をしました。(ツアーの詳しい概要は竹越さんのブログにまとめてありますので、彼の他の素晴らしい文章とともにお楽しみください。
Ivy League視察ツアー 視察の意義と大学の意義

そのツアーに参加していた桜田君が、BRAINIEST(ブレイニエスト)という人気クイズ番組の少年少女クイズ王NO.1決定戦の決勝大会まで勝ち進みました。その模様が1月7日の午後4時からテレビ朝日で放送されます。是非、桜田君の応援をよろしくお願いします。(竹越さんのブログ記事もご覧ください。
神童2人

この桜田君、福島在住で厳しい状況の中、塾にも通わずに全国模試でダントツの一位を獲得。しかし、試験の点数が取れることが彼のすごさではありません。その好奇心の幅の広さ、それを満たす圧倒的な努力量と行動力、問題設定の的確さ、そして常に前を向いてのみ進む推進力にあります。毎朝、学校に行く前に本を1〜2冊読み、毎日英語のレシテーションを行い、新聞を隅から隅まで読み時事をしっかり頭に叩き込む。この世の中を知りたいという溢れ出る欲求。将来、すばらしい研究者になるのではないかと思います。日本の教育が彼をつぶさないことだけをただひたすら願うばかりです。ただ、彼は僕らと出会い、日本の外に選択肢があるということを知っていますから、彼のフィールドは既に日本の枠を超えているので、そこは心配ないでしょう。

桜田君は、まだ10歳。ふと問うてみた。「20年前の自分に、こんなに励まされるだろうか?」と。僕は朝から晩まで、サッカーをして、野原を駆け回り昆虫を集めて、家の中でカマキリを放し飼いして母親に怒られて、David AttenboroughのLifeをビデオテープに穴が開くまで見ていた。と書いてみると、20年後に、ニューヨークの田舎で昆虫生態学の研究をしていることに頷けるのだが、重要なのはそこではなくて、溢れ出る知識欲を全身に滾らせておきながら、それを満たす努力をできなかったということだ。桜田君には、頭が下がる。そこには、何の言い訳も妥協も無い。

日本の子供の学力低下が叫ばれて久しいが、ダイヤの原石はそこら中にある。これはIVY LEAGUEツアーに参加した子供達を見て実感した。子供は自分たちで伸びている。その芽をつぶしているとしたら、それは見識の無い親であり、学校であり、教育者達だ。方法論ばかりの議論で、体制批判をしたって何も生まれない。大人がそんなことをしているうちに子供の芽はどんどん伸びている。そして、その芽は以前程弱くないのではないかと桜田君達と出会って思った。バカな大人達に邪魔されても、彼らの芽はそう簡単に折れないかもしれない。必要な情報や機会は僕らが外から与えることだってできる。

10年後、僕の世代の子供達が、桜田君達の背中に勇気をもらうのだろう。
10年後、僕の世代の研究者達が、若い桜田君達と研究に邁進しているのだろう。
そう思ったら、何だかとても安心した。

背中を守られたんだ。前のみを見つめて進んでいけばいい。