これ、何だかわかりますか?
桶太鼓の胴です。
桶太鼓の胴は椹(さわら)というヒノキ科の木を使います。柔らかいので、下手に扱うと結構なダメージを負ってしまいます。和太鼓を教える時の注意点ですが、力で打とうとする生徒さんはバチを胴に打ち付けてしまうことが多々あり、指導者がそのミスを防ぐ責任があります。しかしどんなに気をつけても、そういったミスは常に起こるわけで、そのときに固い樫(かし)や楓(かえで)のバチを使われていたりすると、胴が思い切りへこんでしまいます。
こんな風に。
下手をすると、革に不均一に圧力がかかり穴があく原因にもなってしまいます。胴を締めている箍(たが)がビビり始めており、メンテナンスをしようと考えていたので思い切って大幅なメンテナンスをすることにしました。
太鼓の胴の中を見るのは、その太鼓の制作者との会話でもあります。友人の友人が作っている和太鼓ですが、とても味のある音がします。この彫りが関係あるかもしれません。
釘で打ち付けられていた箍を全て外し、電気やすりと紙ヤスリで件のへこみを全てとった後、胴の状態をチェックします。板がいくつか外れ始めていたので、接着剤で補強しました。さて、箍の代わりに何を使うかずっと考えていましたが、ずっとトライしてみたかった素材を使うことにしました。
それは、和紙です。もちろん、糊は米から作りました。和紙をはるプロセスは写真を撮っていなかったのですが、ちぎった和紙を一層。それから細長いストリップで一層。千代紙でデコレーションとしました。
こんな感じに仕上がりました。24時間乾燥させました。
さて、調べを結び直します。
これは平置き様なので、音程は低めに設定します。最後の写真で分かるように、かなり調べは緩くします。僕は打つ場所によって音を変えるために緩め方を不均一にします。ただ、このとき注意しなければいけないのは、胴の鳴りに影響が無いようにしなければならないということ。これは、こういう風に太鼓に「遊んでもらって」次第に学んでいけることです。
和紙にしたことで、ビビリはなくなり、とてもすんだ響きとなりました。これから、使い込んでいって和紙が浮いてこずに、ビビリが出なければ成功です。楽しみですね。
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